窓から光が差す。
まだ風は冷たいけれど、太陽の光が暑いくらいで、もう春がやってきた。
あっという間に桜は満開で、お花見もできぬままで、今日こそはと、外に出る決心をする。
でも一人は寂しいな。。。。
よし、おうちの子を連れて行こうかな、
「木の葉猿」
熊本県玉名
奥の大きな子から順に、
馬乗り猿、飯食い猿、団子猿 大、団子猿 小
型を使わずに指先で粘土をひねって作る、素焼きのままの素朴な郷土玩具。
みんな違ってみんないいのよ。
もともとは無彩色だったようで、無彩も味があってとってもいいです。
なんだか、宴っぽいぞ!と自己満足なキョウイチは、木の葉猿ちゃん達を引き連れ、大濠公園へ向ったのでありました。
満開の桜並木道を颯爽と自転車で走り去る。
アヒルボートがぷかぷかと浮かんでいる。
僕には特等席があって、公園へ行くと必ずそこに腰をかける。
場所は教えないけどね!へへ。
その場所へ着くと、すでに誰かが座っていた。
立ち去ろうかなと、思ったが、近づいて、
「そこ、僕の席だよ、アキちゃん!」
「え、キョウイチくん!何しようと?!」
「はなみー。アキちゃんこそ!」
「はなみー!はははー。大濠公園が好きすぎて。何も用がなくても、何もすることがなくても、最終的にここに来ちゃうよ。」
「うん、分かるね。山響屋もそんな感じじゃない?!」
「あ、うん、分かるかも!」
「おにぎり食べていい?買ってきた。いる?」
「食べて食べて、私は大丈夫。」
キョウイチは、おにぎりと木の葉猿をリュックから出した。
「あ、木の葉猿だ!」
「お!勉強した?!」
「少しだけ。。。!可愛い!」
ぴゅーひょろろ。ぴゅーひょろろ。
ふたりは鳶が上空を旋回しているのをしばらく見ていた。
「アキちゃんこの後は?」
「特に何もないですよ、私も木の葉猿欲しいなー、」
「おし、行こっか、山響屋。」
「そだねー!」
「どうもー。」
「きたね。」
にやける瀬川氏。
「こんにちは。」
「あれ?アキちゃんも!何しよったん!?」
「偶然会って、はなみを!ね、アキちゃん。」
「よかねー、綺麗かったろ?」
「そりゃもう!」
「私が木の葉猿欲しいって言ったら、ついてきてくれました!」
「てか、あなた達、何か気づかない!?」
2人は店内を見回す。
2人同時に、「あ!」
ドーーーン!
「鯉のぼり〜!」
「だーれも気づいてくれんっちゃん。。。」
しょんぼりな瀬川氏。
「めっちゃすごいじゃないですか!かっこいい!」とキョウイチ。
「わー!こんな間近でみれるの、なかなかないから嬉しいなー!」とアキ。
「よかったー、そう言ってもらえて!」
ほっとする瀬川氏。
「僕ちょっとこのパンダとウシ気になってたんですよねー。」
「パンダとウシの面」
岡山県倉敷、道楽かん工房
可愛い表情がなんとも言えないね。
愛くるしいとはこういうことなのかな。
「キョウイチくん、ちょっとつけてみて!?」
「いや、顔はみ出るわ!はははー!」
「めっちゃ仲良いやん、あなた達!あ、この間、僕を置いてけぼりにして、カレー食べに行ったからか!」
羨ましがる瀬川氏は、
そんな二人を見て、なんだか嬉しいのでした。
つづく