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第十四話 「僕の夏休み」

去年より暑い。

毎年言ってる言葉を今年も言う。

ただ今年は何かが違うんだ。
ひと味違う夏休み。

僕は相変わらず、ダラダラと日中を過ごし、夕方少し涼しくなってから行動にでる。

今日明日と、山響屋で1人蚤の市をやっているとのことで、行ってみようかと。

「どうもー。」

「きたね。キョウイチくん!」

「わー!店内めっちゃ変わってますね!!いいですねー!すごい賑わってますね!」

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「もうねー、頑張ったよ!あれをこうして、それをああしてね。その前に、紹介するね、トシヒサさん!キョウイチくんは常連客で山響仲間です!」

「キョウイチくん、はじめましてー!」

「はじめまして!すごい楽しみにしてました!!」

「お!本当に?ありがとう!」

「見たことないのいっぱいですねー!テンションあがりますね!瀬川氏!!」

「そやろー!トシヒサさん、本当凄いんよ!」

「そんなそんなー!まあまあよまあまあ!笑」

「福岡ははじめてなんですかー?」

「3回目よ!」

「キョウイチくん、その会話ね、俺もう結構な確率で聞いとるけん!笑 しかも大概が山響仲間やけんね!笑」

「うわ!まじですか?!笑 それは失礼しました。。。笑」

「俺もね、答え飽きたよ!笑」

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面白くてフレンドリーなトシヒサさんに、一瞬にして心を持ってかれてしまったようだ。

「トシヒサさん、今キョウイチくん、恋してるみたいなんですけど、なんかアドバイスしてあげてくださいよー!」

「お!まじでー!?青春やなー!え、アドバイス!?アドバイスねー、、、とりあえず誘いまくることかな!じゃなきゃ何も始まらないよ!当たって砕けろ精神で!」

「さすがトシヒサさん!だってよ、キョウイチくん!」

「が、頑張ります!当たって砕けます!とりあえず山響屋夏祭り、誘います!」

「おー!楽しみに待っとるよ!」

「トシヒサさん!アドバイスありがとうございます!そして、トシヒサさん、鷽ください!」

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「おー!こちらこそありがとうよ!またいい出会いがあって良かった!!明日もやってるから、明日誘っておいでよ!」

「お!その手があったか!笑」

また閉店まで、そうやってたわいもない話をして、幸せを感じて、恋をして、ひと味違う夏休みを、僕は満喫している。

つづく

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第十三話 「夏よコイ」

街はお祭り騒ぎで、人がわいわいがやがやと。

人混みが苦手な私は人混みが苦手なキョウイチくんと、人混みに流されないようにと、いそいそと冷泉荘へと向かう。

今日は第4回 郷土玩具の会。
福岡 博多張子の絵付け体験!

前回とはまた違った雰囲気で!

博多張子の姫だるまか男だるまを選んで…

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顔が微妙にわかるのがツボ!
可愛いなー!

みんな黙々と自分色に。

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私は男だるまをキョウイチくんは姫だるまを選んだ。

最初に筆をいれる瞬間はいつでも緊張する。

先生は三浦隆先生。

家業として張子制作を継いで5代目。

三浦さんのお話を聴いて、俄然やる気が出てきたぞ!なんてキョウイチくんが言うもんだから、私もそんな気がして、緊張していた手もいつも通りに、勇気を出して最初の色をつけることができた。
それ以降はやっぱり楽しさが上回ってさ、思うままに筆を動かせたんだ。

あっという間に時間は経って、前回同様、みんなで記念撮影〜!

今回も楽しかったなーとみんなと解散し、私はキョウイチくんとまた人混みをかき分けた。
かき分けた先には山笠が。
舁き山をやっていて、迫力満点でとてもかっこよかった。

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何も知らないその先にはいいこともあるんだなーなんて思った。

横をふとみると、楽しそうなキョウイチくんの横顔に、なんでかな、少しだけ照れた。

なんでかな。

博多の街は夏の香りでいっぱいで、私の心はキョウイチくんでいっぱいになっていたことにようやく気づいた。

つづく

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第十二話 「ゆれ動く」

梅雨明けはまだかなー。
なんて毎日思う今日この頃。

いつの間にか7月で、暑い夏がもうすぐそこに。

真っ青の空とギラギラ光る太陽。
スイカに蝉に下垂れ落ちる汗。
夏はお祭り三昧。

夏祭り、今年は何処か行けたらいいなー。浴衣でもきてさ。浴衣デートとか一度でもいいからしてみたいもんだよ。

人混みは苦手だけどさ。

金魚すくいとか子どもの頃よくやってたなー。懐かしいなー。

なんて、ひとり考えていると

あ、そういえば金魚!

ちょっと山響屋に行かなくちゃ。

といそいそと家をでる!

「どうもー。」

「きたね。キョウイチくん、久しぶりやね!元気しとった!?」

「元気ですよ!久しぶりって、1週間ぶりですけどね!笑」

「今日まじで暑いけんね!耐えられんでクーラーつけてしまったけん!笑」

「でもその風でいい感じに金魚たちが泳いでますね!今日買いにきたんですよー!」

「金魚ちょうちん」

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山口県柳井

真っ赤な体につぶらな瞳。
ゆらゆらと風になびいて、空中遊泳。
家に飾ると夏らしさが一気に増すよね。
揺れる姿が可愛くて愛おしい。

「お!まじで!ありがとう!個人的にはこっちもオススメやけど、どげんね!?」

「らんちゅう」

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熊本県宇土

本当にランチュウなのか!?と疑うほどの可愛さ!
後ろ姿も意外と可愛いの。

「これは、やば可愛いですね!欲しいのは山々なんですけど、自分にはまだ恐れ多いですね。笑」

「なん、それー!笑 てかアキちゃんとの飲みどうやったよ?」

「楽しかったですよー!めちゃくちゃ!僕、女の子と飲んだりとかたわいもない話したりとかしたことなかったんで、結構新鮮でした!」

「おー!いいやんいいやん!キョウイチくん、恋してるんやない!?笑」

「…..かもしれないです。。。」

つづく

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第十一話 「約束」

今日はずっとずっと楽しみにしていた、尾崎人形の絵付け体験だった。

場所は冷泉荘で。

13時からということで、その前にキョウイチくんとランチをすることになって。

ふらっと入ったお店は、初めてとは思えないくらい、居心地がよかった。
またいつものように、たわいもない会話と、落ち着く空気と間で、楽しませてくれる。

あっという間に12時40分。

「急がんとー!」と速歩き。

会場に着くと、山響仲間がちらほらと。

はじめましての、森ちゃん。

彼女は山響屋のHPの管理人。
彼女の趣味は年越しです。
つづきはWebで…「年越野郎

そして、佐賀 尾崎人形保存会の高柳さんと、佐賀一品堂の城島さんが。

最初は尾崎人形が出来るまでの工程などを高柳さんが佐賀弁で説明してくださって。

とっても可愛い可愛い人で、ずっと見てしまって、その素敵な笑顔に完全にノックダウン!

トークの後はいよいよ絵付け。

皆好きな人形、色を選んで…

黙々と自分色に。

何かに集中するのはいいよね。
無になる瞬間。

あっという間に時間は経って、周りをみると、個性溢れる作品がいっぱい出来ていて、みんなすごいなーと感心!!

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みんなの作品を記念撮影!

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高柳さんも!

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本当の尾崎人形はこちら!

右上から時計回りに、
長太郎、スズメ、水鳥、ヒバリ、兵隊さん、相撲取り、赤毛の子守

絵付け体験は楽しいだけじゃなく、さらにもっと身近に感じることができて、また参加したいなと。

佐賀に今度行こう!とキョウイチくんと約束をしたので、果たしたいなと。

次回は博多張り子のだるま絵付け体験だ!!

つづく

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第十話 「虎」

今日もこの暖簾をくぐる。

相変わらずの満面の笑みで迎えてくれる瀬川さんと相変わらずの塩顔男子のキョウイチくんが。

GW最後の日はキョウイチくんとご飯でも食べようということで、待ち合わせ場所の此処へ。

さらーっと、瀬川さんにサヨナラをして、美味しい美味しいおでん目掛けて、歩き出す。

「お腹すいたねー!」

「うん!めっちゃお腹すいたー!」

「GWほんっと何もしてないけんね。。。アキちゃん、なんかした?」

「えー、友達とあったりかなー。特に、これっ!てのはしてないかなー。。。人多いしねー」

「それ!人混み苦手やけん。」

「私も!」

そんなこんなで、たわいもない話をしていたら、お店に到着。

さっそくビールを頼み乾杯。

飲むペースも食べるペースもゆっくりで、時間もゆっくり進んでいった。

途中から、今どこに行きたいか?という話題になり、久しぶりに行ってなかった動物園に行きたいと伝えると、キョウイチくんも行きたい!と動物話で盛り上がる。

私が虎の魅力について語りだすと、郷土玩具オタクのキョウイチくんが虎の郷土玩具について語りだす。

本当にたわいもないこの時間が1番楽しかったりする。

そしてキョウイチくんには悟られてしまったかもしれないけれど、私は密かに山響屋で狙っているものがあるのです。

「豆虎」

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福岡県福岡、博多張り子

耳がトンがってるー!
性格もトンがってるのかも!?
強そうでかっこいいの。

「虎の子」

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熊本県宇土、宇土張り子

緑のアイシャドウが特徴よ。
目もまん丸で可愛い!

「張り子虎」

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岡山県倉敷、道楽かん工房

格好良さと可愛いさが交差した感じです。
ずっしりとしたその姿勢も好き。

「首振り虎」

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岡山県玉島、玉島だるま

太ーい眉に、長ーい髭。
噛みつかれたら痛いんだろうよー。

どれを買おうか日々悩んでおります。

気がつけば、日をまたいでいて、明日から仕事だし、とお店をでて、酔い覚ましもかねて、家までお散歩。

「食べたねー!美味しかったー!アキちゃん、今日はありがと!」

「うん、こちらこそありがと!楽しかったー!次は絵付け体験かな!?」

「そうやね!楽しみやん!また連絡するけん、一緒行こうよ!」

「いい!?場所分からんけん、助かる!ありがとう!」

家の前まで送ってもらい、サヨナラ。

いっぱい食べていっぱい笑ったな。
本当に良い晩でした。。。
素直に楽しかったんだ。

つづく

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第九話 「待ち合わせ」

雨がポツポツ。

僕の心もいつもより少し落ち着きがないようだ。

今日はGWの最後の日。

ここ数日、街中は人、ヒト、ひと。

そういうことで僕のGWは、相変わらず何も変わらない日々で、ほとんど家でのんびり過ごし、気づけばあっという間に最終日。

今日こそは、と、
暇なアキちゃんにLINEをし、返事を待つ。

ピコン♪

(こんにちは。キョウイチくん。夜、暇だよ!ご飯行こう!ちなみに今天神。)

(僕のGW思い出作りに協力どうもありがとう。笑 何食べたい?)

(なんでもよし!美味しいもの!)

(ちょっと考えるよ!待ち合わせは山響屋でいいかな?予定は何時まで?)

(待ち合わせ場所了解です!19時くらいに待ち合わせでいいー?)

(りょーかい。では、またまた。)

(はいー。また連絡します!)

落ち着きがなかった僕の心は平常通りになり、雨も止み、よかったー。と同時に、「お店探し」という重要な任務を思い出し、また落ち着きがなくなった。

福岡は美味しいお店がいっぱいある。
福岡は魅力的な場所もいっぱいある。
数少ない僕の頭の奥にあるお店を思い出そうと、
福岡の郷土玩具ちゃん達を眺めることにした。

「博多張り子」

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福岡県糸島

左上、姫だるま
右上左下、男だるま
右下、お多福だるま

表情がたまらなく可愛い。
金のキラキラ模様が素敵で、触ると自分の手もキンキラキン。

「赤坂土人形」

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福岡県筑後

左上から時計回りに
おたふく、鳩笛、ほら貝笛、兵隊笛、大黒面、天神

別名「ててぽっぽ」、陶芸職人の余技として製作されたものだそうで。素焼にかけた胡用粉が、触ると自分の手にもついちゃうけれど、それも魅力のひとつ。
ソフトクリームじゃないよ、ほら貝だよ。

「孫次凧」

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福岡県戸畑

凧揚げの季節だね。
春風とともに凧をあげれば、気分もあがって、最高だよ。

可愛い子ちゃん達を眺めていたら、随分と時間が経っていて、慌てて準備をする。

早めに山響屋に行って、瀬川氏に助け求めようかな。。。

「どうもー。」

「きたね。キョウイチくん、なんしよと?」

「今からアキちゃんとご飯です!」

「おー、いいね!どこ行くと?」

「き、きまってないっす。。。」

「満月堂は!?」

「あ!いいすね!そうしよー!笑
助かりました!さすがです!
あー!魚だー!もしや、これがあのOSVですか!?」

「そうよ!早朝からみんなで行ったけんね!お魚バケーション、略してOSV!いいやろー!まじ癒させるよ!部長のさきちゃんがね、OSVのブログ書いてくれとるけん、見てみてよ!」

「お!さきちゃんが!見てみます!」

「今何時ね?」

「19時5分です!アキちゃんそろそろかな?」

「もうそんな時間か!俺も酒もう飲みたいけど、今日は運動の日やけんね!」

「おー!頑張ってますね!夏が楽しみですね!笑」

「そやろ!頑張るけん!」

「こんばんわー!」

つづく

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第八話 「1周年」

2015年4月27日

あれから一年。

あれからって?

山響屋がオープンしてからね。

今日は祝い酒を持って、いつもより少し、いや、だいぶ嬉しい気持ちで、暖簾をくぐる。

「どうもー。」
「きたね。」

「1周年、おめでとうございます!これ、どうぞ!」

「おー!ありがとう!!うれしかねー、ほんとありがとう!またお酒ってのがね、分かっとるね!笑」

「1年、あっという間ですよねー、!でも瀬川氏と会ったのはもう2年くらい経ってる感じっすよ!」

「ほんと、それね!キョウイチくん、初めてお店来た時もだいぶ喋ったろ!?インスタ見てからやったっけ?!」

「そうです、そうです!いやー、待ってました!っていうお店ができて、本当に嬉しかったです!ありがとうございます!2年目の山響屋期待してますよ!!」

「任せちょって!!これからも楽しいことやってこーや!」

「はい!! そして、この水槽なんすか?」

「OSVよ!OSV!まぁまぁ、追い追いね!」

「追い追いか、気になる…。あ!節句ですねー!」

岡山県倉敷、道楽かん工房

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左から、
イヌ、うさぎ、くま、金太郎、きじ、鬼
一押しは金太郎かな!?
可愛いから一年中飾ってられるね。

「節句やねー!てかキョウイチくん、GWは?」

「僕はカレンダー通りですね!」

「何するか決まっとると?」

「そんなに予定入ってないですけど、あ、でももしかしたら、アキちゃんとご飯行くかもですけど、一緒どうですか?予定あえば!」

「お!まじでー!でも僕も予定あってさー、せっかくやし2人で行ったら?!てかアキちゃんとだいぶ仲良くなっとるし!いつの間にか!」

「家が近所なんで、みんなで飲んだあと一緒帰ったりするんでですね!アキちゃん、結構暇みたいなんで、笑 僕の性格の女性版!みたいな感じで、いいんですよ!笑」

「失礼やな!笑 でも似てるっていいよね!分かり合える仲ってさ!それが友達でも恋人でも家族でも!」

「そうですね!山響屋の常連なって、たくさん仲間できました!」

「おばけの金太」

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熊本県熊本

加藤清正が熊本城を築く際、風貌が滑稽で冗談を言って周りの人を笑わせていた足軽の金太という人物をモチーフにしたもの。
ほら!紐を引っ張ると、誰もが笑っちゃうね。

「おてもやん」

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熊本県熊本

おてもやんを探せ!
おてもやんサンバを皆で踊ろうよ。

「想いがいっぱい届きますように。」

帰り道、ビルの隙間から見える夕焼けのグラデーションが、あまりにも綺麗で、キョウイチは誰にも聞こえない声でつぶやいた。

つづく

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第七話 「ダイアリー」

2016年4月10日 晴れ

今日は太陽よりも早起きをして、筥崎宮の蚤の市に。

参道にずらーっと並ぶ古道具たち。

瀬川さん、キョウイチくん、unoのお二人、エドくん、等
みんな個々で来ていて、良い物いっぱい買ってたな。

私は一輪挿しを購入した。

なにこれ!っていうのいっぱいあって、面白かった。

メモ: 来月は、5月5日。

そのあとは、キョウイチくんとunoのお二人と、近くの焼き鳥屋さんで、昼間っから焼き鳥を食べた。
焼き鳥とご飯を一緒に食べるのはなんだか新鮮な感じだった。
美味しかったなー。
メンズは昼間っから飲んでた。昼間っから。笑
みんなでご飯を食べると美味しさ増すね!やっぱり。

そして、今日のメインイベントへ。

キャナルの無印での、

「郷土玩具から九州を知ろう vol.1 『福岡県の郷土玩具』」

筑前津屋崎人形工房の原田さんと山響屋店主の瀬川さんによるトークイベント。

福岡県の郷土玩具の歴史や、
津屋崎人形の事をいっぱい知ることができた。

人形の型の種類の多さにびっくりしたり、はじまりは生活土器だったり、、、

津屋崎人形の今後も本当に楽しみ!

なによりも津屋崎に行きたくなったな。

「モマ笛」

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津屋崎では「ふくろう」のことを「モマ」と言うそう。
お年寄りが食事前にモマ笛を吹いて気道を広げ、食べ物喉につまらない為の道具としても使われていたとか。
丸くて、フォルムがかわいいね。

「津屋崎ピンズ」

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9種類。縁起のよい文様。
ひとつひとつ意味があって、とっても素敵。
おしゃれで可愛いんだな!
若い子につけてほしい。と原田さん。

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2人とも、丁寧に分かりやすく郷土玩具の事について語っていて、もちろん郷土玩具も素敵だけど、郷土玩具を愛する人も素敵だなと。

メモ: 次回は佐賀県の郷土玩具、ごん太

もっと郷土玩具のことを知りたいと思った日。
素敵な女性になりたいと思った日。

あ、トークイベントの後はキョウイチくんとコーヒーを飲みに。
意外とおしゃれなとこ連れて行ってくれた!
ギャップがあって面白い人と思った日。

つづく

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第六話 「最終的に行き着く場所へ」

窓から光が差す。

まだ風は冷たいけれど、太陽の光が暑いくらいで、もう春がやってきた。
あっという間に桜は満開で、お花見もできぬままで、今日こそはと、外に出る決心をする。

でも一人は寂しいな。。。。
よし、おうちの子を連れて行こうかな、

「木の葉猿」

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熊本県玉名

奥の大きな子から順に、
馬乗り猿、飯食い猿、団子猿 大、団子猿 小

型を使わずに指先で粘土をひねって作る、素焼きのままの素朴な郷土玩具。
みんな違ってみんないいのよ。
もともとは無彩色だったようで、無彩も味があってとってもいいです。

なんだか、宴っぽいぞ!と自己満足なキョウイチは、木の葉猿ちゃん達を引き連れ、大濠公園へ向ったのでありました。

満開の桜並木道を颯爽と自転車で走り去る。

アヒルボートがぷかぷかと浮かんでいる。

僕には特等席があって、公園へ行くと必ずそこに腰をかける。
場所は教えないけどね!へへ。

その場所へ着くと、すでに誰かが座っていた。

立ち去ろうかなと、思ったが、近づいて、

「そこ、僕の席だよ、アキちゃん!」

「え、キョウイチくん!何しようと?!」

「はなみー。アキちゃんこそ!」

「はなみー!はははー。大濠公園が好きすぎて。何も用がなくても、何もすることがなくても、最終的にここに来ちゃうよ。」

「うん、分かるね。山響屋もそんな感じじゃない?!」

「あ、うん、分かるかも!」

「おにぎり食べていい?買ってきた。いる?」

「食べて食べて、私は大丈夫。」

キョウイチは、おにぎりと木の葉猿をリュックから出した。

「あ、木の葉猿だ!」

「お!勉強した?!」

「少しだけ。。。!可愛い!」

ぴゅーひょろろ。ぴゅーひょろろ。

ふたりは鳶が上空を旋回しているのをしばらく見ていた。

「アキちゃんこの後は?」

「特に何もないですよ、私も木の葉猿欲しいなー、」

「おし、行こっか、山響屋。」

「そだねー!」

「どうもー。」

「きたね。」

にやける瀬川氏。

「こんにちは。」

「あれ?アキちゃんも!何しよったん!?」

「偶然会って、はなみを!ね、アキちゃん。」

「よかねー、綺麗かったろ?」

「そりゃもう!」

「私が木の葉猿欲しいって言ったら、ついてきてくれました!」

「てか、あなた達、何か気づかない!?」

2人は店内を見回す。

2人同時に、「あ!」

ドーーーン!

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「鯉のぼり〜!」

「だーれも気づいてくれんっちゃん。。。」

しょんぼりな瀬川氏。

「めっちゃすごいじゃないですか!かっこいい!」とキョウイチ。

「わー!こんな間近でみれるの、なかなかないから嬉しいなー!」とアキ。

「よかったー、そう言ってもらえて!」

ほっとする瀬川氏。

「僕ちょっとこのパンダとウシ気になってたんですよねー。」

「パンダとウシの面」

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岡山県倉敷、道楽かん工房

可愛い表情がなんとも言えないね。
愛くるしいとはこういうことなのかな。

「キョウイチくん、ちょっとつけてみて!?」

「いや、顔はみ出るわ!はははー!」

「めっちゃ仲良いやん、あなた達!あ、この間、僕を置いてけぼりにして、カレー食べに行ったからか!」

羨ましがる瀬川氏は、
そんな二人を見て、なんだか嬉しいのでした。

つづく

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第五話 「和気藹々」

「どうもー。」

「きたね。」

そう、何を隠そう、やって来たのは常連客のキョウイチ。

「こんにちは。」
とアキが小声で挨拶をする。

キョウイチはなぜか恥じらいを見せながら、会釈をする。

※以下
瀬川氏→瀬
キョウイチ→キ
アキ→ア

瀬「キョウイチくん、おはよう!今日早かね。休み?」

キ「休みですよ。今日は珍しく早起きしましたね。昨日飲んでないんで。ははは。」

瀬「おぉーそれは珍しかね。あはは。」

瀬「あ、こちらね、アキちゃん!」

キ「あ、はじめまして、キョウイチです。」

ア「はじめまして、よろしくお願いします。」

瀬「キョウイチくんはね、週2くらいでお店来てくれるっちゃん。郷土玩具、詳しいけ、なんでも聞いたら答えてくれるよ!ね、キョウイチくん!?」

キ「え、え、まぁあね!」

瀬「アキちゃんはね、今日2回目かな?来てくれたの。」

ア「はい、そうです。」

キョウイチは店内を見回して、新しい子たちに挨拶。

キ「わ、この子可愛い!買おうかな!」

「招き猫」

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福岡県津屋崎

ほっぺたがぽてっとしていて可愛いお顔。赤と黒の模様がチャームポイントだね。

瀬「それめっちゃ可愛かけん!」

ア「それ可愛いですね!ちょっと気になってました。あと、こっちのカラフルな子ちゃん達はどこのですか?」

キ「それは、広島の宮島って知ってる?そこの張子ですよ!かわいいですよね、僕まだ宮島行ったことないんで、いつか行きたいなーって思ってるんです。」

「宮島張り子」

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広島県宮島

カラフルな鳥、フクロウ、鹿、お魚、くじゃく等、模様も色もたくさんあって、どれも味があってとても素敵。パッと明るい気分になるね。

ア「へぇー!私も行ってみたいと思ってたんですよ。宮島。へぇー、可愛いなー。」

瀬「さすがやねー、キョウイチくん。もう僕の代わりに店番お願いよね。ははは。」

するとそこへ、

「こんちわ。」
「こんにちわー。」

おしゃれな2人組が来店。

瀬「お疲れー。あ、アキちゃん、おりがみバッジの國松氏とえりこさんよ。」

ア「あ、はじめましてー!今バッジ買いました!」

「わぁー本当に!?ありがとう!嬉しいなー」とえりこさん。

「お、ありがとう、ございます。」と國松氏。

2人共満面の笑顔です。

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※以下
國松氏とえりこさん→UNIQUE,NEW,ORIGINAL(←クリック必須!)略して、uno

キ「お久しぶりですね。」

uno「久しぶりやん、キョウイチくん。今日お昼食べた?」

キ「いや、まだですよ。」

uno「あとでカレー食べ行くけど、一緒にどう?」

キ「行きましょう。」

uno「アキちゃんもどう?」

ア「え、いいんですか?私も?い、行きたいです。」

瀬「え、みんな僕を置いて行くのね、行っちゃうのね、お土産おまちしておりますよ。」

皆で和気藹々と小一時間程、店内でおしゃべりをした後、寂しがる瀬川氏を残し、美味しい美味しいカレー屋さんへと向かうのでありました。

つづく